世界各国の仮想通貨税金まとめ

世界各国の仮想通貨税金まとめ

2021年9月作成
2022年7月更新

ビットコインは2021年、価格の上昇や初めて法定通貨としての採用など、改めて世の中の注目を集めました。

2020年から新型コロナウイルスの感染拡大で経済が大幅に悪化、企業や個人の所得に影響が出る一方、預金が異例の増加を続けています。多くの人は仮想通貨の投資を始め、バブルの波に乗って”億り人”になれた人も少なくないです。

そこで気になるのが税金です。残念ながら日本で【仮想通貨】の所得は雑所得で給与と合算して累進課税のため税率は住民税を含むと最大55%、それに加え控除額がない上、他の株式、為替取引と損益通算で利益と損失を相殺する事はできません。また、仮想通貨の損失は来年へ繰越できません。

日本の仮想通貨税率は世界他国と比較しても断トツに高く、例えば隣国の韓国は基本控除額を設けていて、シンガポールやアメリカは仮想通貨を長期保有する事で税金が発生しなかったり、税金が安くなる国もあります。

世界で代表的な幾つかの国の仮想通貨税率をまとめて見ましたので是非ご覧ください。下記情報はあくまでも当サイトが自主調査によるもの、実際の税率・税額と異なる場合があり、また最新情報がリアルタイムで更新されていない場合もありますので予めご了承ください。
ご質問・ご意見があれば問合せフォームよりお問合せをいただければ幸いです。

日本

所得は大まかなに10種類に分けらています。

給与事業
不動産山林
一時退職
利子配当
譲渡雑所得(👈仮想通貨はこちらに当てはまる)
  • 仮想通貨の所得は【雑所得】になります。
    雑所得とは、公的年金等、非営業用貸金の利子、副業に係る所得が該当します。
  • 総合課税給与所得など各種の所得と合計した金額で課税されます。
  • 累進課税として計算され、所得額が増えるほど税率が高くなります。
  • 他損益通算禁止となっており、損失が出た場合でも他の利益と相殺できない、生じた損失は昨年・翌年以降の利益と相殺できません。
  • 住民税10%を足すと最大55%の税率になります。

利益(売りまたは決済に支払い)が確定した時点で課税対象になります。
利益が100万円の場合(他の給与所得などがないと想定)
例えば、1BTCを100万円で購入し、1年後1BTCが200万円まで値上がり、その時に100万円の利益を見込んでいるが売りをしなければ税金もかかりません。
でも、1BTCが200万円の時に売りをした場合、200万円-100万円=100万円利益が出ているので税金は5万円になります。

利益が1000万円の場合
1000万×33%-1,536,000=約176万円


利益が4000万円の場合
4000万×45%-4,796,000=約1320万円

所得金額税率控除額
195万円以下5%0円
195万円を超え 330万円以下10%97,500円
330万円を超え 695万円以下20%427,500円
695万円を超え 900万円以下23%636,000円
900万円を超え 1,800万円以下33%1,536,000円
1,800万円を超え 4,000万円以下40%2,796,000円
4,000万円超45%4,796,000円
No.1300 所得の区分のあらまし

2種類の収入を入力するだけ、1秒で計算結果が出る
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中国

2021年9月24日、中国人民銀行は中国で仮想通貨の交換や情報仲介などを全面的に禁止すると発表しました。海外の取引所へアクセスする事も禁止になり、税制自体もなくなりました。それまで仮想通貨の所得は【財産譲渡税】として税率は20%でした。

仮想通貨は経済や金融秩序を乱し、資金洗浄(マネーロンダリング)や違法な資金調達、詐欺・犯罪活動などに繋がるので、関連サービスは全て違法とし、違反した場合は刑事責任を追及するとの発表がありました。

タイ

  • 仮想通貨の取引による利益は個人所得として、他の所得と合算して確定申告をする必要があります。
  • 【所得税】で0~35%の累進税率は適用されます。
  • 2018年タイ政府は所得税以外に、さらに15%仮想通貨税を徴収する計画を発表しましたが、仮想通貨業界から「過度な課税は業界の発展を抑制してしまう可能性がある」と批判の声が多数上がり、業界の意見を取り入れて、(2022年)15%仮想通貨税を中止にしました。
  • 2022年3月8日、タイ財務相が記者会見で仮想通貨投資にかかる税金について、年間損失と利益を相殺できるようにし、公認取引所において仮想通貨取引にかかる付加価値税7%を免除すると発表しました。また、タイ国内の仮想通貨スタートアップ企業に少なくとも2年間投資した投資家に対して、最大10年間免税できます。(免税措置は2022年4月から2023年12月まで有効で、仮想通貨業界の発展を促進することが狙いとなります)
  • ただし、海外資産から発生した収益は同年中にタイに持ち込まなければ課税無し(セクション41)となりますので、実際はタイで仮想通貨の投資をする人のほとんどは海外の取引所を利用していると思われます。
  • タイ政府はBinance等の海外取引所の利用は違法であるとタイ国民に対して警告をしています。
  • 一方でタイではコロナ禍で失われた観光収入を穴埋めする為に仮想通貨の税を優遇して海外から資金を呼び込もうという案も検討されているようです。
  • 2022年3月23日、タイの証券取引委員会(SEC)は仮想通貨を商品やサービスの支払い手段として使用することを禁止すると発表しました。また同国企業に対し、2022年4月1日から仮想通貨決済を受け付けないよう勧告をしました。一方、投資目的の仮想通貨取引は引続き認めます。

タイ財務省によると、過去1年間に仮想通貨市場が急成長し、取引口座は2021年の年始には17万件だったが年末には約200万件まで増加しました。
シンガポールのリサーチ企業DataReportalが発表した「Digital 2022 Global Overview Report」は、タイが世界でも仮想通貨を所有するインターネットユーザーが多いとの調査結果を示しています。レポートによると、調査対象となったタイの16歳から64歳のインターネットユーザーの約20%が、何らかの仮想通貨を所有しており、この割合は世界一位でした。二位はナイジェリア、フィリピン、南アフリカが約19%と同列で続いていて、世界平均でこの割合は約10%、日本は約6%でした。

1万バーツ=約35,000円 ※2022年2月情報

課税所得区分税率
0~150,000 バーツ0
150,001~300,000 バーツ 5%
300,001~500,000 バーツ 10%
500,001~750,000 バーツ 15%
750,001~1,000,000 バーツ 20%
1,000,001~2,000,000 バーツ 25%
2,000,001~5,000,000 バーツ 30%
5,000,001~ バーツ 35%

フィリピン

  • 仮想通貨の利益は日本と同様【所得税】になります。
  • 累進課税の仕組みで最高税率は35%。
  • 1万ペソ=約22,000円 ※2021年8月情報
課税所得区分税額
25万ペソ以下0
25万ペソ超 40万ペソ以下 + 25万ペソを越える部分に対して20%
40万ペソ超 80万ペソ以下3万ペソ + 40万ペソを越える部分に対して25%
80万ペソ超 200万ペソ以下13万ペソ + 80万ペソを越える部分に対して30%
200万 ペソ超 800万 ペソ以下49万ペソ + 200万ペソを越える部分に対して32%
800万ペソ超241万ペソ + 800万ペソを越える部分に対して35%
2022年12月31日まで

課税所得区分税額
25万ペソ以下0
25万ペソ超 40万ペソ以下+25万ペソを越える部分に対して15%
40万ペソ超 80万ペソ以下22,500ペソ+40万ペソを越える部分に対して20%
80万ペソ超 200万ペソ以下102,500ペソ+80万ペソを越える部分に対して25%
200万 ペソ超 800万 ペソ以下402,500ペソ+200万ペソを越える部分に対して30%
800万ペソ超2,202,500ペソ+800万ペソを越える部分に対して35%
2023年1月1日以降

韓国

  • 2020年7月、韓国政府は仮想通貨の利益に20%課税となる税法改正案を発表しました。この法案が実施されるまで、現状は仮想通貨の利益が無課税になっています。
  • 課税法案では、年間250万ウォン(約24万円)以上の利益を得た者に20%の税金を課すことが提案されました※1。それと対照的に、株式収益への課税基準は5,240万ウォン(約516万円)からです。
  • 課税開始を2023年まで延期する予定でしたが、2022年7月21日に発表した税改革計画では、市場環境の停滞と投資家保護対策の準備に必要な時間を理由に課税の施行を2025年に延期することが決定しました。

※1 この法案に対し大統領官邸の公式サイトに投資家からの抗議が殺到し、税制案を批判しました。また、金融規制当局の退陣を求める請願書がたった25日間で20万人超の署名を集めました。

日本円に換算した場合の税金を計算します
1万ウォン=約940円 ※2021年8月情報

例えば、1BTCを100万円で購入し、1年後1BTCが200万円まで値上がり、1BTCが200万円の時に売りをした場合
200万円-100万円-24万円(控除額)=76万円利益が出ています。
76万円×20%=約15万円が税金となります。

利益が1000万円の場合
1000万×20%-24万=約176万円

利益が4000万円の場合
4000万×20%- 24万 =約776万円

ベトナム

  • ベトナムも中国同様仮想通貨は非合法です。

ベトナムはアジアの中で数少ない、仮想通貨を明確に「非合法」と位置付けている国です。ベトナムは、市場経済を導入し、急成長してきた国家ですが政治体制は南北統一のころから一貫して共産党一党独裁で、規制すると決めた際の実行力はやはり目を見張るものがあります。
とはいえ、非合法とされているのはあくまで仮想通貨の「決済」に関してです。取引および保有に関しては規制の対象とはなっておらず、世界の中でも取引量は比較的活発です。現在では明確的な税金に関する規定がありませんが、ベトナム政府は税金措置について検討を進めています。

インドネシア

  • 2022年5月1日からインドネシア政府は仮想通貨投資に0.1%のキャピタルゲイン税と0.1%のデジタル資産取引に付加価値税(VAT)を課す計画と報道されています。

インド

  • 2018年4月、インドの中央銀行は銀行が仮想通貨取引を支援または関与することを事実上禁止しましたが、最高裁判所は2年後に禁止を覆しました。
  • 2020年後半から2021年初にかけて仮想通貨価格が上昇し始めると、仮想通貨は違法というスタンスを持つ政府は姿勢を軟化し、仮想通貨を資産として購入及び保有することを可能にするが、但し通貨または支払いとしての使用を禁止とします。
  • 2022年3月25日、インドの下院議会は、2022年の財務法案を可決しました。仮想通貨に関する改正では、仮想通貨とNFT(非代替性トークン)取引を対象とする30%の所得税が徴収され、1つの仮想通貨からの損失を別の仮想通貨の利益と相殺することができず、取引ことに1万ルピー(約16,000円)を超える仮想通貨の収益や贈与に対して、1%のTDS税(源泉徴収税)が課せられますさらに、少額な取引でも年間累積50,000ルピーを超えると1%のTDS税が課せられます。
  • 利益を計算する際に、取得費用を除いて、いかなる支出や手当による控除は許されず、また仮想通貨取引による損失は他の所得と相殺できないことになっています。
  • 2022年5月9日、インドGST評議会は仮想通貨取引の手数料に対し28%のGST(物品サービス税)を課すことを検討すると発表しました。

仮想通貨投資家は2022年4月1日から30%の税金が課税され、源泉徴収される1%のTDS税は7月1日から有効になります。提案された税改正は、国内で「仮想通貨業界を殺す」可能性が高いと主張した多くのインド議員や地元の業界リーダーから反発を受けました。

マレーシア

  • キャピタルゲイン※税がゼロの国につき税金はかかりません。

※キャピタルゲインとは、株式や債券など、保有している資産を売却することによって得られる売買差益のことです。
例えば、株価100万円で購入した株式が、120万円になったときに売却した場合、差額20万円(手数料・税金を除く)がキャピタルゲインになります。

シンガポール

  • 仮想通貨の短期保有について明確な税制がありません、その都度申告が必要です。
  • 場合によってその利益は「所得税」として扱われ、課税対象になり税率は所得額によって0~20%となります。
  • 仮想通貨による利益は「キャピタルゲイン」とみなされると非課税になりますが、仮想通貨の利益をキャピタルゲインとみなすための明確なルールはありません。例えば、株取引の場合、株式の20%を2年以上保有していた場合、キャピタルゲイン税が0%となります。この定義は仮想通貨に適用する目安になります。

香港

  • キャピタルゲイン※税がゼロの国につき税金はかかりません。

ドバイ

  • キャピタルゲイン※税がゼロの国につき税金はかかりません。

ニュージーランド

  • 仮想通貨は所得税として、累進課税となります。
  • 2021年4月1日により新しい税率が適用され、新たに2枠が設けられました。
収入1ドルあたり税率
14,000ドルまで10.5%
14,000ドル以上48,000ドルまで17.5%
48,000ドル以上70,000ドルまで30%
70,000ドル以上 2021年3月31日まで33% 2021年3月31日まで
70,000ドル以上180,000ドルまで33%
180,000ドルを以上39%

アメリカ

  • 仮想通貨は資産として、株と同様の扱いで累進課税(連邦税)となります。
  • 仮想通貨を一年未満保有した場合、短期キャピタルゲインとして税率は10〜37%。
  • 仮想通貨を一年以上保有した場合、長期キャピタルゲインとして税率は0%〜20%の範囲で所得のレベルに応じ税率は適用されます。
  • そして高所得層にのみ課されるキャピタルゲインに対する付加税率が3.8%あり、さらに州によっては州税も払う必要があります。

2021年4月22日、米バイデン大統領は年収100万ドル(約1億800万円)以上の富裕層に対し一年以上保有した場合でもキャピタルゲイン税を39.6%まで引き上げる事という増税案を発表、付加税率3.8%を足すと最大43.4%になります。

増税案をめぐり市場関係者や共和党からの批判が相次ぎました。実際に議会で可決できるか、また修正案また再提出するか、可決した場合はいつから実行するかはまだ未定です。但し、議会がバイデンの提案を通過しなくても2025年以降39.6%に増税される予定です。

ちなみに連邦税とは別に州政府もキャピタルゲイン税を課税します。州により異なりますが、全米で最も富裕層が多いカリフォルニア州の税率は現在7.75%。富裕層のキャピタルゲイン税の税率は連邦税と合わせて51.15%になります。ニューヨーク州では58.2%に達する計算になります。

2021年の短期キャピタルゲインに対する税率

所得税率独身共同での結婚申告夫婦別申告世帯主
10%9,950まで19,900まで9,950まで14,200まで
12%9,951ドルから40,525ドル19,901ドルから81,050ドル9,951ドルから40,525ドル14,201ドルから54,200ドル
22%40,526ドルから86,375ドル81,051ドルから172,750ドル40,526ドルから86,375ドル54,201ドルから86,350ドル
24%86,376ドルから164,925ドル172,751ドルから329,850ドル86,376ドルから164,925ドル86,351ドルから164,900ドル
32%164,926ドルから209,425ドル329,851ドルから418,850ドル164,926ドルから209,425ドル164,901ドルから209,400ドル
35%209,426ドルから523,600ドル418,851ドルから628,300ドル209,426ドルから314,150ドル209,401ドルから523,600ドル
37%523,600ドル以上628,300ドル以上314,150ドル以上523,600ドル以上

2021年の長期キャピタルゲインに対する税率

所得税率独身共同での結婚申告夫婦別申告世帯主
0%40,400まで80,800まで40,400まで54,100まで
15%40,401ドルから445,850ドル80,801ドルから501,600ドル40,401ドルから250,800ドル54,101ドルから473,750ドル
20%445,850ドル以上501,600以上250,800ドル以上473,750ドル以上 

カナダ

  • キャピタルゲインの税率は15〜33%、【所得税】として利益の50%が課税対象です。
  • アメリカや日本同様累進課税となります。
  • アメリカ同様連邦税+州税です。一番高い州はケベック州で、15%から25.75%の累進税率で、連邦税と併せると、最高税率は58.75%になります。
  • 過去3年前までの赤字を相殺できます。
    例えば、2020年は仮想通貨で50万円赤字に対し、2021年は100万円の利益でた場合、
    100万円-50万円=50万円 課税対象額は50万×50%=25万円です。
所得税率
15%49,020ドルまで
20.5%49,020ドル から 98,040ドルまで
26%98,040ドル から 151,978ドルまで
29%151,978ドル から 216,511ドルまで
33%216,511ドル以上

エルサルバドル

  • 2021年9月7日からビットコインが法定通貨になったため、他通貨との交換にかかるキャピタルゲイン税は撤廃されました。

中米エルサルバドルの議会は2021年6月9日、暗号資産(仮想通貨)のビットコインを法定通貨として扱う法案を可決し、 その法案は2021年9月7日に施行され、ビットコインは世界で初めて法定通貨として採用されることになりました。

イギリス

  • 株式同様キャピタルゲイン税20%が課せられます。

ドイツ

  • 【個人】仮想通貨の売買利益が600ユーロ(約8万円)未満であれば非課税になります。
  • 【個人】仮想通貨を一年以上保有した場合、非課税になります。
  • 【個人】仮想通貨を一年未満保有した場合、短期キャピタルゲインとして所得税率は比例累進課税で14~42%。限界税率は45%。
  • 但し、企業は仮想通貨をビジネス資産として見られる為非課税制度は適用されません。
  • すべての利益に対し課税され、過去の損益と相殺できません。

2022年5月10日、ドイツの連邦財務省は仮想通貨の所得税取扱いについてガイドラインを発行しました。今回のガイドラインは中間的なものであり、最終的な結論ではありません。

  • 以前、レンディングやステーキングなどの報酬として得られた利益を所得税非課税とするためには、最大10年間保有しなければならない場合があったが一年経過すれば所得税は課税されない方針です。

レンディング(Lending)とは?

保有している仮想通貨を取引所に貸し出し、見返りとして仮想通貨を得られます。

ステーキング(staking)とは?

仮想通貨を多くかつ長期間保有し、ブロックチェーンのネットワークに参加・預け入れることでコンセンサスアルゴリズム「合意方法」に貢献ができ、見返りとして報酬を得られます。

ドイツ連邦財務省より 👉税金自動計算ツール👈  を是非ご利用ください。

税率単身者
0%9,984ユーロまで
(1,008.70 × a + 1,400) × a9,985ユーロから14,926ユーロまで
(206.43 × b + 2,397) × b + 938.241万4,925ユーロから5万8,596ユーロまで
42% × c – 9,267.535万8,597ユーロから27万7,825ユーロまで
45% × c – 17,602.2827万7,826ユーロ以上

変数「a」は、基本控除額を超える課税所得の1万分の1です。
数量「b」は、四捨五入された14,926ユーロを超える課税所得の部分の1000分の1です。
数量「c」は、四捨五入された課税所得です。

スイス

2022年1月、スイス連邦税務局は仮想通貨について明確なガイダンスを発表しました。ほとんどの個人投資家は6ヶ月以上仮想通貨を保持することでキャピタルゲイン税を支払うことはありません。キャピタルゲイン税を支払うのは企業と個人事業主だけです。例外として、マイニング・ステーキング・エアドロップによる利益を得た場合は所得税(※1)が課せられます。但し、個人投資家に対し所得税と富裕税(※2)は課せられる場合があります。

ステーキング(staking)とは?

仮想通貨を多くかつ長期間保有し、ブロックチェーンのネットワークに参加・預け入れることでコンセンサスアルゴリズム「合意方法」に貢献ができ、見返りとして報酬を得られます。

エアドロップ(Airdrop)とは?

知名度向上を目的に実施されることが多く、条件を満たすことで無料で仮想通貨を獲得し、その後売却することで利益を出すことができます。

仮想通貨は株式や債券などと同様個人資産として見なされますが、下記条件に満たすことでキャピタルゲイン税は発生しません。

  1. 6ヶ月以上仮想通貨を保持すること。
  2. 一年中の取引高は年度初めに保有している仮想通貨残高の5倍以下であること。
  3. キャピタルゲインは、会計年度内の総収入の50%未満であること。
  4. 債務や融資がないこと。
  5. デリバティブ(金融派生商品)はリスクヘッジ(リスク軽減、回避)のためだけに使用されていること。

(※1)スイスの所得税は、大きく3種類に分かれています。
・連邦所得税 一部の州を除きスイス全体で使用される累進課税です。
・カントン所得税 特定のカントンによって設定されるため、居住地によって異なります。最近、定額税を導入するカントンもあります。
・地方自治体所得税 スイスの地方自治体は、独自の税率を設定する権利がありますが、ほとんどは州の連邦所得税率に従います。
ほとんどのカントンは連邦所得税を使用していますが、スイス全体で26の州と2,929の自治体があるため居住地によっては税率が複雑になります。

1フラン=約140円 ※2022年7月情報

連邦所得税率

所得区分下限所得区分上限下限分税金下限超過分税率
0~14,500フランまで0%
14,500~31,600フランまで0.77%(一律)
31,600~41,400フランまで131.65フラン0.88%
41,400~55,200フランまで217.90フラン2.64%
55,200~72,500フランまで582.20フラン2.97%
72,500~78,100フランまで1,096.00フラン5.94%
78,100~103,600フランまで1,428.60フラン6.60%
103,600~134,600フランまで3,111.60フラン8.80%
134,600~176,000フランまで5,839.60フラン11.00%
176,000~755,200フランまで10,393.60フラン13.20%
755,200~86,848.00フラン11.50%(一律)

(※2)富裕税については、カントン(行政区画)によって異なりますが、ほとんどのカントンの富裕税は0.3〜1.0%です。
スイス連邦税務局ホームページ 👉各カントンの富裕税率👈  をご覧ください。

ポルトガル

ポルトガルの税務当局は2016年に実施した法律では、仮想通貨が通貨と見なされないため、課税不可能だと判断し、仮想通貨による利益を所得税の対象外としています。さらに2019年、仮想通貨取引と決済では消費税(VAT)を免除すると表明しました。

仮想通貨に対し完全に課税しない為、ポルトガルに移住するビットコイン所有者が増えています。

2022年5月25日、ポルトガル議会で少数政党(Bloco de EsquerdaとLivre)の2党による仮想通貨課税案を提案しましたが投票により否決しました。

  • Livre党の法案は、「仮想通貨のキャピタルゲインについて約68万円(5,000ユーロ)から課税することを視野に入れて、課税申告義務を確立する」を提案しました。
  • Bloco de Esquerda党の法案は、従来のキャピタルゲイン(※3)に適用されるのと同じレートの税金を仮想通貨にも当てはめることを提案しました。

背景として、ポルトガルは法律として仮想通貨に対し完全無課税のため、ポルトガルをビットコインの「タックスヘイブン」と例える向きがあります。

タックス・ヘイブン(Tax Haven)

タックス・ヘイブン(Tax Haven)とは、課税が完全に免除されたり、租税回避地、低価税地域とも呼ばれます。多国籍企業や富裕層が法人税や源泉徴収税が皆無に等しいタックス・ヘイブンに資産を移し、オフショア(非居住者に対する租税環境の優遇地域)取引を利用して租税回避するケースが多く、脱税行為やマネーロンダリング・犯罪・テロ資金隠匿(いんとく)などに悪用されるケースもあります。

今回、2つの課税法案は否決されましたが、近い将来に仮想通貨へ課税を始める可能性は依然として残されています。フェルナンド・メディナ財務大臣は2022年5月13日、課税を推奨する発言を行い「資産の取引に関するキャピタルゲインが課税されないような抜け道」があってはならないと述べ、これから仮想通貨への課税モデルを模索し、法律や税制に修正を加える方針だとしています。

同時にメンドンサ・メンデス財政問題担当国務長官も、仮想通貨に関しては、所得税(※1)に加えて、付加価値税(VAT※2)や印紙税(IS)などの税金を課すことも検討していると説明しました。メディナ大臣やメンデス長官は、具体的な法改正などの日取りについては言及していませんが、政府内に課税を開始する意向があることは確かです。

1ユーロ=約140円 ※2022年6月情報

※1 所得税

所得金額税率
7,112ユーロまで14.5%
7,112ユーロから10,732ユーロまで23%
10,732ユーロから20,322ユーロまで28.5%
20,322ユーロから25,075ユーロまで35%
25,075ユーロから36,967ユーロまで37%
36,967ユーロから80,882ユーロまで45%
80,882ユーロ以上48%

※2 VAT税率は一部特殊な商品除き、ポルトガル本土で23%、アゾレス諸島の自治区で18%、マデイラ諸島の自治区で22%です。
※3 キャピタルゲイン税率は、居住者の場合は28%、居住者ではない場合は14%です。

まとめ

国民として国に納税するのは義務ですが、日本では仮想通貨の税率が株と為替と比べ非常に高く、ほかの株式、為替等投資と損益の相殺ができず、損失も来年へ繰越できない状態は仮想通貨の投資にとってはとても不利で、または不公平とも言えます。
実際の所、全世界約3/4の国は、仮想通貨用の課税法をまだ実施していないと推測されます。残りの1/4の国は法定通貨として認めないものの株式同様の扱いで投資資産として認めています。

2021年は仮想通貨が再注目・再認識された年と言っても過言ではありません。仮想通貨はブロックチェーン(公開取引台帳システム)などの技術に支えられ、安く!早い!かつシンプルな国際送金サービスができます。仮想通貨を法定通貨にした国も現れ、仮想通貨の普及を積極的に受け入れる国がある一方、自国通貨と競争関係を意識してどこまで規制をかけるかを模索している国もあります。

日本の仮想通貨税率は【とてつもなく高い】と各国のメディアは指摘しています。価格が上昇し、これで【一儲け】と思っている方はしっかり税金・税率について理解をしないと後々税務署より無申告加算税が課せられる場合もありますのでご注意ください。

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日本の仮想通貨税制は改正されるのか?

2021年5月に行われた「金融所得課税の一体化に関する研究会」で所得課税に関する意見交換会がありました。デリバティブ取引を含む金融取引について、条件付きで損益通算を認める案も出ていたが、仮想通貨の税制に関する案はありませんでした。

2021年6月、仮想通貨の税制改革を積極的に推進する参議院議員藤巻健史氏は仮想通貨税制改正に関する請願書を衆議院議長および参議院議長に提出しました。原文では以下の4点が論点となっています。

  1. 仮想通貨の売買益を最高税率55%の総合課税から20%の分離課税へ変更すること
  2. 仮想通貨売買損の繰越控除を可能にすること
  3. 仮想通貨の売買を非課税にすること
  4. 店頭などでの仮想通貨の少額決済を非課税にすること

結果として採択はされなかったのですが、「国民の意見である」ため立法者は無視できないという点から重要な一歩となると言えるでしょう。

2021年8月11日、一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)が一般社団法人日本暗号資産取引業協会(JVCEA)と共同で仮想通貨に係る2022年度税制改正要望書を公開しました。 要望書 に「暗号資産取引にかかる利益への課税方法は、20%の申告分離課税とし、損失については翌年以降3年間、暗号資産に係る所得金額から繰越控除ができることを要望する。暗号資産デリバティブ取引についても同様とする」と記載されています。

2021年11月24日、自由民主党『予算・税制等に関する政策懇談会』【金融・証券関係】が開催され、令和4年(2022年)の税制・一般政策の要望聴取と意見交換が行われ、日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)の廣末会長、幸専務理事が出席し、政府に税制改正要望の説明を行ないました。要望の内容は暗号資産利益の20%申告分離課税、損失の3年間繰越などが含まれています。

日本は総合課税(税率最大55%)に対し、米国や英国といった海外主要国では分離課税(税率20%)で海外の暗号資産税制との乖離を指摘し、 「ブロックチェーン技術などによる経済社会の高度化に備え、乖離縮小が不可欠」と主張しています。

このままではますます先進国の「デジタル革命」に遅れを取ってしまいかねず、イノベーションの最先端で活躍する人材の国外流出を含め、暗号資産(仮想通貨)・ブロックチェーン領域に対する日本政府の理解不足からくる過剰規制、及び税制問題は深刻な課題となっています。

2022年5月19日、国民民主党の玉木雄一郎代表はWeb3.0の経済圏を推進するため、仮想通貨への課税制度を改正したいとの意向を示しました。具体的には以下の2点を挙げ、人材や事業の海外流出を防ぐとしています。

  • 仮想通貨を20%の申告分離課税とする
  • 法人保有のトークンは期末時価評価の対象外とする

外務大臣や防衛大臣などを歴任した自民党の河野太郎広報本部長も「党内で税制改正に向けた議論が始まっている」とツイッターで述べました。

2022年5月19日の予算委員会では、国民民主党の玉木雄一郎代表から「仮想通貨は雑所得ではなく20%の申告分離課税にすべき」、また「発行法人が保有するトークンは期末時価評価の対象から外して実際に収益が発生した時点で課税するよう見直すべき」との提案に、岸田首相は「慎重に検討する」と答弁し、補正予算案成立後に玉木代表と挨拶した際、玉木代表はWeb3が大切であると伝え、減税を進めることを依頼しました。岸田首相は「日本にとってチャンス。やりましょう」と答えたそうです。最近は首相のまわりに税制改革の必要性を訴える議員も増えてきました。

2022年11月10日、自民党デジタル社会推進本部web3PTは、仮想通貨やNFTに関する税制改正に向けた提言「Web3関連税制に関する緊急提言」を公開しました。特に、個人の仮想通貨取引に関わる課税については、総合課税最大55%から分離課税20%への見直しが盛り込まれています。

果たして日本の仮想通貨税制が改正される日は来るのでしょうか?!



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